西武・内海哲也の遺伝子を継ぐ男に覚醒の兆し 1年で球速14キロアップ
西武・内海哲也の遺伝子を継ぐ男に覚醒の兆し 1年で球速14キロアップ
フォーム改善によって見えてきたラプソードデータ上の球質変化と球速アップ
変化球のセンスは抜群、魅力的な独特のカーブを投じる、しかしストレートの勢いに欠ける。1年前はそんな印象を受ける投手だった内海瑛太投手。読売ジャイアンツで活躍し、今季は西武ライオンズの選手兼任コーチとしてシーズンに臨む内海哲也投手を父に持つ右腕は、その遺伝子の覚醒にくすぶっていた。
転機になったのは、2021年3月に行ったラプソードの計測。球速は96km/hしか出ず、小学生の時から変わっていない自分のボールに危機感を覚えた。
やらないといけない事は山積みだった。まずは圧倒的に弱い瞬発力の強化、さらに脆弱な体幹の強化、そして何よりも課題となったのが投球フォームのスムーズさだ。
足を高く上げた後、やや前傾姿勢で投球動作に入っていくため、踏み込みや腕の振りが弱くなり、ボールからは勢いを感じにくかった。
それからはとにかくスムーズに投げられるようにするため、足の上げ方を変えたり、強く踏み出すイメージを付けたりと地味な試行錯誤が続いた。同時に、ウィークポイントである瞬発力や体幹もしっかり鍛え、投球動作にも強さを出していった。
また、リリースの内旋・外旋運動がスライダーのようになっていた点や、ボールを深く握り込みすぎていた点など、細かなところから大きな課題までをひとつひとつ潰していった。
そして1年の歳月を経て、球速は14km/hアップし、目標の第一段階となる110km/hに到達した。1,534回転だった回転数も約500回転増え、最大で2,064回転となった。
ラプソードのデータを見て、自分に自信を持てるようになったことで、試合でのピッチングも大きく変わった。ランナーが出ても物怖じせず、「絶対に抑えてやる」という気持ちで投球ができるようになった。
直近の大会でも三者連続の奪三振を記録するなど、飛躍的な成長を遂げている。
次の目標は、すでに決まっている。夏までに球速を10km/h上げ、120km/hの壁を突破することだ。
球質にもこだわりがある。バラつきのある回転効率(現状67%~93%)をアベレージで90%以上にすることで、よりストレートに磨きをかけていく算段だ。
覚醒の予兆が見えてきたプロの遺伝子。
今後の成長も楽しみだ。
ラプソード計測及び投球指導については、こちらをご確認ください。